2016年07月02日

日本で最も生きづらい都市の一つ、東京。 争点は何か? (副代表 内田聖子)




日本で最も生きづらい都市の一つ、東京。 
争点は何か?
(副代表 内田聖子)



 いま、子どもたちの間では「マスゾエル」という言い方がひそかに流行っているという。いわく、「カネに汚く、ケチ」であることを指す。「お前、マスゾエってるな!」とか子どもたちがふざけているかと思うと、大人として、都民としてはもう恥じ入るしかない。

 3年間で3回も都知事が変わる、しかも2回はカネの問題での辞職という前代未聞の都知事選。その争点は、何だろうか。

 オリンピック問題、保育園問題、福祉、雇用、中小企業支援、女性の活躍……挙げればきりがない。それら個別イシューの根本には、経済全体の方向性がある。規制緩和と大企業優先の施策──この数十年間、世界で日本で推し進められてきた新自由主義政策をさらに進めるのか、それとも暮らしや地域経済、環境を大切にした経済モデルをめざすのか、という選択だ。

 東京という自治体は、どこよりも豊かでカネがある。しかし同時に、貧困層も多く、日本で最も生きづらい都市の一つでもある。格差の大きな自治体でもある。

 低成長時代に入った日本の中で、アベノミクスのもとでTPPや国家戦略特区などの徹底した規制緩和や大企業優先のルールが敷かれようとしている。しかしこんなことをやっても日本の経済成長は上向くことはなく、貧困や格差がより増加する。海外投資が多少増えたところで、庶民の暮らしはよくはならず、東京には見せかけの好景気が生まれるだけだ。金融・投資のさらなる自由化は予期せぬ金融危機を再び引き起こしかねないが、TPPのルールによって国民生活を守る規制措置はとりにくくなり、私たちの生活は大きな打撃を直接受けることになる。

 日本という国がこうしたグローバルな大企業優先の方向へ向かう中、東京の選択は実に大きい。新自由主義を推進する官僚や政治家は、規制はすべて悪、ぶっ壊せと主張するが、私たちの暮らしを守るためのセーフティネットとして必要な規制は確実に存在する。例えば米国の大都市ニューヨークは、国の進めるTPPに反対し、「TPPフリーゾーン自治体宣言」を出している。大企業の利潤よりも人びとの暮らしや雇用を優先すべきという判断からだ。フランス・パリ市は一度水道サービスを民営化したが、料金高騰やサービスの質の悪化などから再公営化を求めている。これら世界の主要都市は皆、何でも規制緩和して市場に放り込めばうまくいくのだ、という新自由主義の流れに「NO」を突きつけ抵抗している。なぜならそれは、何世代も先の時代を見越して、人間や地球環境にとって持続的な経済ではないからだ。

 都知事選で問われるのは、こうした大きな経済政策であり、その上での個別の政策だ。外資や大企業から回ってくるおこぼれを期待する時代はもう終わっている(決しておこぼれは回ってこない)。今度こそ、未来世代に恥ずかしくない、責任ある選択をしなければならない。

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Report「国家戦略特区は、何を狙うか。」



どうなる!? 東京の暮らし
医療制度は?
雇用が変わる?
国家戦略特区って何?

奈須りえさん(市民シンクタンク まちづくりエンパワメント代表)と郭洋春さん(立教大学教授)をお迎えして開催された「第3回希望政策フォーラム 国家戦略特区は、何を狙うか。あなたの暮らしが投資家のものに!?」
http://utsu-ken.seesaa.net/article/396382845.html

国家戦略特区によって日本はどうなる?
ウソのような本当の話!

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◆Part1◆問題提起

「国家戦略特区とは何か?」(奈須りえ)

 私は大田区で、10年ほど、昨年の夏まで区議会議員をしていました。国家戦略特区による規制緩和は2003年、小泉改革のときにスタートしましたが、その地域に大田区が設定されていましたので、以来ずっと追いかけてきました。

 東京23区は地方交付税を受け取らない不交付団体で、財政が豊かだとされていますが、特別養護老人ホームは足りていませんし、待機児童も多く、その財政は区民の生活に還元されていません。

 国家戦略特区はTPP(環太平洋連携協定)とセットのような形で、大企業──特に外国企業──に利益が還元され、この傾向を一層強めるものです。TPPはあくまで条約なので、そこで国際的に合意した内容を国内で実施するためには法律の整備が必要ですが、そのための役割を国家戦略特区が担っていると私は思います。

 国家戦略特区は全国6つの地域(東京圏、関西圏、福岡市、沖縄県、新潟市、兵庫県養父市)に指定され、東京都内では23区中9区(千代田区、中央区、港区、新宿区、文京区、江東区、渋谷区、品川区、大田区)が指定される予定です。都のプロジェクトは、「東京発グローバル・イノベーション特区」という名前がつけられています。

アジアヘッドクォーター.jpg

(東京都アジアヘッドクォーター特区HPより)


 既に小泉政権が構造改革特区(2003年)、菅政権が総合特区(2011年)という政策を行っていますが、その二つは事業の主体が地方自治体だったのに対し、今回は地方自治体に加えて、民間事業者も事業主体になることが可能で、より一層、企業優先の政策が行われると考えられます。


特区比較.jpg


 安倍首相は特区やTPPなどの規制緩和で既得権益の岩盤を突き崩すと言っていますが、その安倍首相の言う岩盤によって守られているのは、法に守られた私たち普通の市民です。労働の規制などがなくなることで私たちの暮らしは脅かされ、最低賃金以下で働く外国人労働者がやってきては酷使されます。結局、労働者得をする者は誰もおらず、安い人件費で労働者を働かせる企業だけが得をするようなことになりかねません。

 そうした労働の規制緩和などが企業から見て「うまくいった」とみなされれば、それは特区にとどまらず全国へ広がっていく可能性があります。しかもラチェット条項(いったん進められた規制緩和を逆戻りさせることを禁止する条項)によって、規制を戻すことができなくなる、後戻りのできないのがこの特区なのです。



○「経済成長に国家戦略特区が用いられる意味」(郭洋春〈ヤン・ヤンチュン〉)

 まず、国家戦略特区とセットとしてのTPPの話で言えば、安倍首相は農業が8兆円しか儲けていない(全体の出荷額が8兆円しかない)から切り捨てるという方向で進んでいます。しかしTPPの経済効果は3.2兆円とされていますので、差し引きマイナスです。だったらやめてほしいものです。

 国際的に見れば、こうした経済特区のような制度は、高雄(台湾)、深せん(中国)のように、地方のまちを都市化させていく時に導入されたのであって、東京のような巨大都市に導入するというのはおかしなことです。一極集中している東京を特区に指定するということは、集中の度合いを一層進めるものです。

 中曽根政権が進め、小泉政権が推し進めたのが新自由主義的政策です。これは民間活力といった言葉で、公的、民主主義的な規制を企業にとって都合のいい形に変えていく政策です。国鉄をJRにし、郵便局も民営化し……と少しずつ進められてきましたが、今回の特区はこれをありとあらゆる分野でやろうとするものです。

 先日インターネットのサイトに、アメリカで盲腸の手術をしようとした人が、約500万円請求されたという話が出ていました。医療制度や健康保険制度が規制緩和されると、日本でもこういうことが起こりうるのではないかと思います。

 既に米韓FTA(自由貿易協定)を結んでいる韓国では、法律が米国の大企業が活動しやすいような形に次々と変えられていっています。例えばソウル市は、学校給食への遺伝子組み換え食品の使用を条例で禁止していますが、それでは遺伝子組み換え食品を使えなくて困ると言って、アメリカ企業はその条例撤廃を要求してきています。

 日本に置き換えてを考えてみると、国家戦略特区で一旦認められてしまったら、特区ではない地域にまでそれが応用されてしまうのではないか。国家戦略特区を東京や大阪などの大都市で実施することで、国民を慣れさせて、ゆくゆくは韓国と同じく全国で、米企業が活動しやすいような仕組みに変えていく。本来行政が行うべきサービスまでもがビジネス化されていくということになるのではないかと思います。



○「東京が『憲法番外地』に?」
宇都宮けんじ

 第一次安倍政権の際、彼らは「残業代ゼロ法案」を出しましたが、反撃にあってそれは潰れました。「企業が世界一活動しやすい国」というのは、企業に有利で、労働者にとっては地獄の制度を作るということです。国家戦略特区は、いわば解雇特区という形で労働者を守る規制をなくすことです。ワーキングプアーをより一層増やすことになるでしょう。

 安倍首相はまた、労働者派遣法を改悪しようとしています。派遣法ではいま、専門の26業種だけが無期限で派遣雇用することが認められていますが、その26種の枠をはずして、全ての業務を対象に無期限で派遣ができるようにしようとしています。そうすると、あらゆる職場が派遣従業員ばかりになってしまいます。これは特区とは別に進めていますが、同じような規制改革として捉えることが必要です。

 非正規社員は小泉首相の時代から一気に増えて、現在、働く人の3人に1人が非正規雇用となりました。非正規雇用は正社員よりもずっと収入が低く抑えられています。ワーキングプアーが1000万人を超す状況が7年連続して続いています。

 同じように、民間企業の公教育への参入が進むと教育の格差も広がりかねませんし、容積率の制限が緩和されることにより都心にもっと高層ビルが建てられて、中小企業や商店街は寂れていく。

 そして農業も切り捨てられていきます。地方だけでなく、東京でも練馬や三多摩では農業に従事している方が多くいます。八王子で政策フォーラムを行ったとき、「農業を守らなければ三多摩は守れない」と強く訴える方がいましたが、そのとおりだと思います。安倍政権はいま、小規模農業が維持発展できるような制度ではなく、潰れていくような政策を進めようとしています。

 憲法で保障された人権を守ることは、権力の側にいる者の、主権者に対する最低限の約束です。しかし憲法の文言を変えずに人権を侵害する政策を押し進めていく、それが戦略特区に他なりません。ですから、私たちはちゃんと監視していかなくてはなりません。



◆Part2◆質疑・パネルディスカッション


司会 内田聖子(NPO法人アジア太平洋資料センター事務局長):
 みなさんこんばんは。質問をいただきながら、できるだけ議論を深めていきたいと思います。
 先日、虎ノ門ヒルズ──都内で2番目に大きいビル──ができましたが、ここには海外の企業やアメリカのハイアット系の高級ホテルが入っています。開発したのは森ビルですが、国家戦略特区のような形で規制緩和が進んでいけば、このようなビルをさらに建てていきたいと意気込んでいます。
 そしてオリンピック。2020年までの間に、国家戦略特区とオリンピックという二つの起爆剤をテコに、東京の風景、そしてお金の流れも変わるのではないかと私は危惧しています。私たちの暮らしにも強い影響があります。


●─── 外資を呼び込んで得た利益は都民や国民に還元されずどこにいくのでしょうか。医療や福祉に国家がその利益を還元していないというデータは、どこを見ればわかりますか?

郭:韓国では、外資企業を呼び込むときの条件として、5年間は無税で、得た利益も自由に本国に還元してよいとなっています。それは多くのアジアでの特区で行われていますので、日本でもたぶん、同じことになると思います。利益が日本の経済や公共的なことに還元できるかというと疑わしいですね。

奈須:東京都の場合で言うと、税金は100%減税され、利子補給(企業が借り入れたお金に対する利子への補助)もある。「都民に対して還元されるの?」と訊いたら、「6年目以降は還元されるかも」と言われました。でも東京都の人口は2020年以降は減ると予測されています。それまでに稼ぐだけ稼いだら、あとは知らないというのが大方の考えだと思います。そういう意味では、還元されるかどうかは、全然保証されていません。


●─── 国家戦略特区ではいま、職を持つ人も早期退職を迫られるのか? なぜ、こんな無法地帯の国家戦略特区が許されてしまうのか知りたいです。

宇都宮:早期退職を迫られるかどうかはわかりませんが、昨年〈2013年〉の労働契約法の改正で)5年以上勤めた有期雇用労働者は、無期雇用に転換することが可能になりました(無期労働契約への転換)。すると、5年で雇い止めにするというような雇用主が出てきて問題になっています。この雇用止めの問題で労働組合などを作って、闘っているところがあります。
 先日、大飯原発の運転差し止めの判決が出ました。原発がなくなると電気代が高くなると言うが、多くの人の生存の問題と電気代の問題を比べるというようなことは許されないと、判決では言っています。豊かな国土に根付いた生活をしているのが国富であって、それが取り戻せないようになるようなことはおかしい、国民の基本的人権を侵害するような政策だと。いまの安倍政権自体がまさに基本的人権を無視するような政策ばかりを出していますが、これを阻止するためにはみなが声をあげていかなければならないと思っています。


●─── 医療に関する多くのことが問題になっています。神奈川県の特区で、医学部以外の卒業生であっても、メディカルスクールを出れば診察を行えるようにするとか、外国語で診療することができるようにしていくと言っていますが、医師会からは反対の声はあがっていますか?

奈須:医師会は反対しています。ただ実際に、個々の医師になると判断は違うと思います。自由診療になれば経営が楽になるんじゃないかと考える医師もいます。とはいえ、医薬品メーカーなどだけが潤うだけで、必ずしも医師が儲かるわけではないといった意見もあります。

宇都宮:TPPに関しては、同じような危険があるということで医師会も反対しています。医師会の前会長が、いまはTPP国民会議の代表をされています。


●─── 私たちの未来を見るために、いま韓国ではどうなっているかお聞きしたいです。

郭:今年の1月に韓国の医師会にあたる医師協会が、全国でストライキを起こしました。それは、この間進められてきた規制緩和によって、お金のある大病院や総合病院がますます膨れあがり、個人病院は潰れてしまうのではないか、企業と同じようなことが起こってしまうのではないかと危惧した反対運動です。

 韓国では一昨日、統一選挙が行われました。韓国では、教育行政については別途財源を確保していて、人事権も別です。日本の教育長にあたる教育監と教育委員も直接選挙によって選ばれます。その教育監に今回、全教組(全国教職員労働組合)の進歩的な人が当選しました。いままでとは違う動きが起こっているのかなと思います。

●─── 都議会の人たちはどのように考えているのでしょうか。そしてもうひとつ、東京で指定された9つの区の住民がいまからできることは何か?

奈須:残念ながら、この課題が都議会で問題になっているという話は聞いていません。特区をどんどん進めてほしいといった声のほうが多くあるようです。また区議会でも、ほとんど話題にはなっていないというのが現状です。
 ただ憲法95条では、一区域(地方公共団体)に適用される法律には住民投票が必要であると定めています。その地域だけで医療保険料が上がったり、ある地域だけ解雇されやすくなるというようなことを阻止するには、住民投票を実施するのがよいのではないかと思います。

 ただ、その区在住ではない人も病院で受診しますし、外からその区の企業に通勤してくる人もいます。そういう意味では、「特区」というのは意味がなく、みんなで考えないといけない問題だと思います。

内田:都の、特区を取り扱う部署に電話をして、「都民に説明するような機会については考えていますか?」と聞いたら、びっくりしていました。そんなこと考えてみたこともなかったと。行政としての説明責任のようなものも吹っ飛んでしまっているんですね。

 選ばれた区の責任者にはもちろん説明をしているということですが、その区がそれぞれの住民に説明をするかどうかについては都は感知していないとのことです。私もびっくりしましたし、それを監視していく必要があると思っています。
 では、最後におひとりずつ、おねがいします。


郭:東京都では9つの区だけが指定されたということは、9つの区が選ばれたとも言えますが、残りの14区については、ネガティブな意見もあります。東京都はもともとダメだしをくらって舛添さんが呼びだされて、「ちゃんとやれよ」と言われています。

 東京は日本の首都ですので、「特区」となることには大きなリスクを抱えています。財政的な負担もありますし、そのための人材確保も、国でなく都が行わなくてはならない。それは相当な負担ですので、積極的ではなかった。だから、結局、引き受けたのは9つの区だけとなったわけです。東京都も一枚岩ではない。そんなにうまくいかないのではないかと思っています。

 外国人ための特区と言いますが、外国企業はたいして日本に来たがっていません。人件費は高いし土地も高い、そして何より英語が通じない。日本にくる理由がありません。日本人を雇わずに英語の通じる外国人を雇うのであれば、日本の雇用は増えません。おかしいんじゃない? って、だんだんとボロが出てくるのでははないかと思います。

 東京都は、やると大変だけどやらないわけにはいかないという、結構厳しい立場に置かれているのではと思います。

内田:原発が破綻するかもしれない日本に、安心して外資が来るとは思えないという声もありますね。

郭:ブラジルではサッカーワールドカップが開かれていますが、それと同時にデモが起こっています。治安は大丈夫なのかと日本では報道していますが、東京でオリンピックが開かれる2020年に、果たして原発の問題は落ち着いているのか。そうでなければ外国の人は来てくれないですよね。

 でもいま、東北の復興支援よりも東京のゼネコンに、カネはつぎこまれています。東北は置いていかれています。復興もできてないのにオリンピック? 近づけば近づくほど、後回しにした問題が大きくなって、世界中から、「日本は何やってんだ?」という声が大きくなると思います。

宇都宮:東京で何がどう行われているのかは、ウォッチしなくてはなりません。都議会で取り上げてもらうことは重要です。私たちはその議論を視ていかなくてはいけない。「特区」には中央区と江東区も指定されていますが、築地の移転と開発、そして特区構想。それらをあわせて問題にすべきだと思います。

 私たちはカジノの解禁・推進についても反対していますが、安倍政権はオリンピックに向けて「カジノ特区」をつくろうとしています。公営ではなく民間の業者がやろうとしていて、ラスベガスでカジノを営業している業者が虎視眈々とねらっています。

 ギャンブル依存症が増えますし、犯罪なども増えていくのではないか。カジノは人の不幸の上になりたっています。どうぞ関心をもって参加してください。私たちはこういう問題を知る、情報をつかむということが必要です。

奈須:3つお話します。まず、地方分権とは何だったのか。それは、私たちが身近な自治体に自治権を与えるということではなく、企業にそれを与えようとしたということだと思います。これから行われるのは権限の委譲です。これまでは行政が決めたことを民間に委託するという規制緩和だったのが、インフラをどうするのかといった権限まで、民間に移譲されるところに進もうとしています。

 東京ではいろいろな開発が行われようとしています。リーマンショック以来、お金の行き場がわからなくなっていて、マネーゲームのネタが必要なんですね。それが再開発だったりオリンピックだったりするわけです。確実に儲かるような仕組み──都心の一等地で、絶対に投資したら儲かる──をつくっています。期間限定で5年間、東京で儲けるだけ儲けて、その後、日本、東京に再投資はないでしょう。

 これ以上減税を続けたら日本は疲弊します。統治機構も疲弊し大きく崩れ去っています。住民の権利がないに等しい状態です。住民自治とか民主主義とは何なのかということを確認していかなければならないと思います。


内田:情報がたくさんありすぎてわかったようでわからないという感じもあると思いますが、どうぞ継続してこの問題を一緒にに考えていただきたいと思います。本日はありがとうございました。


(2014年6月6日、第3回希望政策フォーラム「国家戦略特区は、何を狙うか。あなたの暮らしが投資家のものに!?」より)


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2016年07月01日

Report「オリンピックでカジノを推進!?」 カジノは、不幸を売るビジネスである


 カジノ解禁法案成立を目指す、国際観光産業振興議員連盟(IR議連)。
 新聞の世論調査でも60%の人びとが反対しているにもかかわらず、
 東京五輪までには何が何でもカジノを開業するぞと突進する様は、
 すでにカジノ中毒の様相。

 カジノの儲けとはいったい何か──。
 それは負けの総体。
 カジノの売り上げが上がれば上がるほど、
 損をする人(餌食)がいっぱい出るということ。
 つまり、カジノは、
 不幸を売るビジネスであるということ──。

2014年9月20日に文京区民センターで開催された、
第4回希望政策フォーラム「どうする!?東京オリンピック」から、
カジノの問題を取り上げます。
講師は、新里宏二さん(弁護士)、古川美穂さん(ジャーナリスト)、宇都宮けんじ(弁護士)です。
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【1】新里宏二(弁護士)

○───アベノミクスとは何か。

 安倍内閣は、2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催までに、海外からの観光客拡大を目指しています。2013年には海外から日本を訪れた観光客が1000万人を超えましたが、それを倍増させることを目標に掲げています。

 そしてそれをもっとも後押しするのがギャンブル、「IR」(統合型リゾート)であると。IRとは、カジノだけでなく遊技場があったり、会議場があったりホテルがあったりと総合した施設です。「博打」と言えばいいものを、「IR」などと言ってごまかし、それが観光の目玉になるということで進められています。

 IRはシンガポールで2010年に始まりました。シンガポールには二つのリゾート、IRがあります。マリナーズベイサンズと、セントーサというところで、私も8月に見てきました。

 そのうちの一つセントーサ島にあるセントーサカジノには平日に行ったのですが、特に驚いたのは、観光バスがどんどん入ってくる。そのバスに乗っているのはなんと高齢者ばかり。セントーサの入り口を入ると、左手にカジノ、右手がアミューズメント施設になっています。正面は国際会議場。海外からの客はパスポートを示し、国内の人はIDカードを示して入りますが、そのほとんどは中国系でした。シンガポールは人口の73%の人が中国系です。

 カジノの2階から1階のフロアを眺めてみました。映画のように、ピカーッと華やかで格好いい光景が広がっているのかと思ったら、2割か3割しか客は入っていなくて、60代〜70代の男女が無言でチップをはっているという状況でした。シンガポールの街中ではヨーロッパ人観光客も見かけましたが、カジノにはほとんどいなかった。とても入れる雰囲気ではありませんでした。

 もう一つのマリーナベイサンズカジノは、タバコの臭いが強烈で、なんだか場末の賭博場という感じでした。こちらもセントーサと同じく、高齢者がただただチップをはっていました。

 安倍首相は、「岩盤規制にドリルで穴をあける」と盛んに言っていますが、アベノミクスとはつまり、日本を世界で一番、企業が活動しやすい国にするということです。カジノについては、米国も明らかに賛成しており、ラスベガスのカジノ企業MGMリゾーツ・インターナショナルは、日本でカジノが解禁されたら5000億でも1兆円でも投資すると大見得をきりました。

 では誰がカジノにカネを落とすのか? カネを落とす海外の人とは?
 シンガポールやマカオのカジノで一番カネを落としているのは、中国人の富裕層と汚職(で儲けた)公務員です。

 ただ、彼らもそう頻繁にシンガポールやマカオまで来るわけではありません。そこで登場するのがジャンケットオペレーターという仲介業者(顧客を斡旋し、客への信用貸しや負債の回収を行ったりするツアー業者)。彼らがカジノと裏取引をして引っ張ってくるから、わざわざ中国からシンガポールまで客が来る。2015年にはマカオのコタイにまた新しいカジノがオープンするようで、中国人富裕層の取り合いになっています。

 では日本でカジノを作った場合、確実にアテになるのは何か。
 それは160兆円という日本の個人資産です。カジノを推進する日本ゲーミング学会は、「高齢者のタンス預金がなかなか市場に出回らない。カジノができて、高齢者のタンス預金が出回れば景気を刺激する」なんてことを言っています。しかし、これが果たして経済活性化と言えるのでしょうか。

 お台場にカジノができたら全国からお台場観光バスツアーが押し寄せて、勝った人がお金を落としていくかもしれませんね。大型施設ですから、また鹿島建設が絡んでくるかもしれません。建築ラッシュにゲーム機器の需要……。雇用の機会が増えると言っています。

 ところがいま、マカオで何が起きているか。
 マカオではいま、カジノ労働者による賃上げや待遇改善などを求めるデモが頻繁に行われています。アベノミクスとは何かといったら、企業が儲かり、労働者にしわ寄せがいくシステムです。そんな中でのまともな雇用なんて、ないでしょう。

○───カジノ最大の負の影響はギャンブル依存症

 カジノの負の影響は何か。
 それはなんと言ってもやはり、ギャンブル依存症です。先日厚労省が発表したデータでは、日本のギャンブル依存症は人口の約5%、536万人で、アルコール依存症の5倍です。アルコール依存症は100万人でも多いと言われますが、それどころではない。こんなに依存症が多い国はほかにありません。

 オーストラリアが人口の2%台で米国のラスベガスが約1.8%です。なぜ日本はこんなに依存症率が高いのかといったらそれは、のべつまくなしにパチンコをやらされるからです。男女の比率は、男性が8.7%、女性が1.8%でした。アメリカは女性の比率が1.58%、オーストラリアは男性が2.4で女性が1.7です。

 賭博は、刑法185条以下で処罰の対象とされています。日本では太古の昔から、持統天皇のあたりから、賭け事に興じて人身が崩れてしまうからということで賭け事を禁止してきたという歴史があるようです。競馬、競輪、競艇などは公設で解除してきましたが、カジノ運営は刑法で禁止されています。

 「カジノ解禁推進法案」(特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案)は、認定区域内において民間業者に民営カジノの営業を許可しようという法案です。それには正当な理由がある、地域活性化、経済活性化のためと言います。

 ではギャンブル依存症の問題はどう解決するのでしょうか。多重債務の問題、青少年への影響、犯罪の増加は……? 「カジノ解禁推進法案」の10条にも、暴力団の関与など、カジノの弊害が書かれています。しかしそれに対して何ら具体的な対応策は示されないまま進めようとしているのが現状です。

 カジノ解禁後の具体的な制度設計は、1年以内を目処として別に立案される「カジノ解禁実施法」(特定複合観光施設区域整備法)において決める。いまはとりあえず、ただカジノを解禁することだけを決めると、あまりに拙速です。弁護士36000人の加入団体・日弁連は、今年(2014年)5月に、廃案を求める決議をあげて安倍首相に意見書を提出しています。
 
 とりもなおさず言いたいのは、「儲かる」「経済効果がある」と言いますが、国会議員は誰ひとりとしてそんなことを検証してはいません。韓国にはカジノが17カ所にあり、そのうち16カ所は外国人専用です。1か所だけ江原(カンウォン)ランドというカジノだけが自国民向けのカジノで、2000年に開場しました。

 ところがいま江原ランドは大変深刻な事態に陥っています。ギャンブル依存症、犯罪や自殺の増加……。韓国ではカジノの売り上げが1兆6000億円で、それに対してマイナスの影響が7.8兆円。プラスマイナスすると、社会全体で6兆円以上のマイナスの効果であるという結論が、2009年に国の委員会で出されました。アメリカの研究者の中でも、同様の結論が出ています。日本は、深刻な依存症の問題、青少年への影響などを置き去りにしたまま、経済的にプラスという前提で話を進めています。

 私はこれまで、ギャンブル依存症で失敗してきている人たち──家族を失い、仕事を失い──といった悲劇をずっと見てきました。業者が儲かるからといって、人の犠牲の上に成り立つような商売は、この経済大国の日本で、あえて経済対策で実施するようなことですか?

 “おもてなし"で取った、オリンピックにあわせて解禁する──。
 アベノミクスは、とにかくカネ、カネ、カネ、の世界であって、その中で人権が無視されています。

○───パチンコ関係大手がオリンピックスポンサー

 大手パチンコ機器メーカーは商機を狙っています。地方の弱小メーカーの中には、パチンコ客をカジノに取られてしまうのではないかと逆に反対しようという人もいました。

 パチンコはどう考えてもギャンブルですが、なぜか認められています。それは3店方式と言われるもので、客はパチンコで得た玉を店内で景品に交換し、その景品を店外の換金所で現金に換金する。表向き、パチンコ店と換金所はまったくの無関係であり、よってパチンコは「賭博ではない」という暗黙の了承でやっているからです。

 自民党はいま「パチンコ税」創設の話を進めています。安倍首相は法人税を下げると言いました。そうすると税収も減税になってしまう、その財源をどうするかという話になったときに出てきたのがパチンコ税です。

 パチンコの売り上げは19兆円(2012年)ですので、例えばパチンコ税を1%としたら、それだけで1900億円。いま「遊戯」の扱いとなっているパチンコを「ギャンブル」と位置づけて、顧客に換金時にパチンコ税と消費税を課税すればいいという話です。

 反対陣営の押さえ込みと税収の二つを狙ってきた。進めているのは自民党の細田博之議員ですが、彼はまたカジノ議連の会長でもあります。パチンコ業界の反対を押し切る算段をして、パチンコ課税をしようとしているのではないかというのが、私個人の見解です。

 パチンコ機メーカー大手トップ3のセガサミーは、宮崎の大型リゾート施設「シーガイア」を経営していたフェニックス・シーガイア・リゾートが経営破綻したあとそれを買い取って子会社化しましたが、いま、そこにカジノを誘致しようとしています。

 ちなみに、そのセガサミー会長の娘が結婚したときの披露宴の主賓は安倍首相だったようです。
 セガサミーはまた韓国でも、カジノ業界に資本参加をしています。

○───米国でカジノが次々と破綻

 ところが最近は米国でも、意外に面白い動きが出てきました。東部ニュージャージー州のアトランティックシティーでは、カジノがどんどん倒産していて、過当競争でペイしないということが明らかになってきました。

 ニューハンプシャー州ではカジノ合法化法案が否決されました。カジノにより税収はいくら上がるか、マイナスの影響は何か、正確なデータを算出して、それを元に州議会で議論した結果です。そういったことが、日本にも伝わってくるであろうと期待しています。

 カジノの儲けとはいったい何か──。
 それは負けの総体、損した分の相対がカジノの売り上げです。
 カジノの売り上げが上がればあがるほど、損する人がいっぱい出る。
 カジノは、不幸を売るビジネスです。

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【2】古川美穂(ジャーナリスト)


○───ギャンブル依存症は疾病である

 日本には536万人のギャンブル依存症と疑われる方がいる──非常に衝撃的な数字でした。アルコール依存症は109万人ぐらいと言われていますので、それに比べてもかなり深刻であることがわかります。

 なぜそれがこれまで表に出てこなかったのか。それにはいくつかの理由が考えられますが、その一つは、日本ではギャンブル依存症は「病気」であるという認識がなく見過ごされてきた。ただのギャンブル好き、あるいは本人の意志が弱いといった形で見過ごされてきたという歴史があります。

 依存症というそれ自体が「否認の病」で、自分が依存症であるということを認めたがらないという特徴があります。依存対象に対してコントロールが効かなくなるという病気であって、もはや本人の意思力では止めることができない。治療しようという段階になっても、本人が避けて治療の場に表れることもない。

 酒やドラッグなら、ある程度進めば外見や症状から健康を害していることが発覚しますが、ギャンブル依存症の場合は身体に症状が出ることはあまりない。借金で首がまわらなくなって、離婚や失業、場合によっては会社のお金を横領するとか、そういったところまでいかないと、なかなか表に出ません。大王製紙の井川意高元会長がカジノのギャンブルで100億円以上損をして、子会社からカネを借り入れて損害を与えたとして捕まりました。いま実刑判決で服役中ですが、典型的なギャンブル依存症の一つの結末の形と言えます。

 ギャンブル依存症により引き起こされるのは犯罪だけではありません。人も死にます。自殺率も高い。またそれだけでなく、パチンコ屋の駐車場にお子さんを置き去りにして死亡させてしまうという痛ましい事故がたくさん起きています。今年の6月にも沖縄で、生後5ヶ月の男の子が熱中症により亡くなっています。お母さんが、重過失致死の疑いで逮捕されました。

 それは決して、親が子を虐待しようとしているわけではありません。ギャンブルを繰り返すことによる強い刺激によりドーパミンの代謝異常が起きて、脳の報酬回路に変調が生じている(依存の回路ができると、脳の奥深くにある扁桃体が司る「今すぐこれをやりたい」という衝動的報酬回路が強まり、逆に「これをするとどんなことが起こり得るか」と予測する前頭前野の思慮的報酬回路の働きが落ちる)。

 ギャンブル依存症はアルコール依存症と同じように、WHO(世界保健機構)も正式に認めている疾病です。完治することはありませんが、適切な治療・ケアを受ければ、「回復」可能な病気です。ただ問題は、回復につながる回路が少ないということです。ギャンブル依存症に関する医療機関が圧倒的に少なく、相談・支援体制もあまり整っていません。日本ではようやく厚労省が推定の人数を出したという段階で、肝心の予防にはほとんど手がつけられていません。

○───カジノを推進しているのは誰か?

 そんな状況であるにもかかわらず、カジノを解禁するということが、果たしてまともな政策と言えるのか。
 いま、国会でカジノ推進法を通そうとしているIR議連(国際観光産業振興議員連盟)というのは超党派で、社民党・共産党以外の200人の国会議員が名を連ね、最高顧問には安倍首相が就いています。

 それに呼応するように、いくつかの地方自治体が地域活性化、税収を当てにしてカジノ誘致に手を挙げています。IR型の大きなものを3カ所を含む全国10カ所が名乗りを上げています。有力とされている候補地は東京、大阪、沖縄で、その他、釧路市、小樽市、苫小牧市、秋田、幕張、横浜、熱海、名古屋、徳島、佐世保、宮崎などが誘致に動いています。

 東京はお台場か築地かと言われていますが、今のところ舛添知事がそれほど積極的な姿勢を見せていないので、横浜が優勢と言われています。沖縄では仲井眞知事が、辺野古新基地建設を認める代わりにカジノをやらせてくれと言ったと聞いています。

 その中で非常に活発な動きを見せているのが大阪です。橋下市長はもともと大のギャンブル好きでカジノ誘致にも熱心です。大阪湾にある埋め立て地の人工の島・夢洲(ゆめしま)にカジノをつくるという案が出ていて、海外からカジノ大手企業の幹部の方が、松井大阪知事に会いに来ているそうです。JR大阪駅から夢州まで鉄道を延ばそうというアイデアもあり、その建設費は500億円から3500億円と見積もられています。

 5月にカジノ・コングレス(ジャパン・ゲーミング・コングレス)という会議が東京の豪華なホテルで開かれました。イギリスのクラリオン社というイベント会社の主催で、日本は最後のカジノのフロンティアであるということで、海外からカジノ企業のトップが大勢参加していました。

 日本からはゼネコンや、カジノ誘致に前向きな地方自治体などが集まり、司会は博報堂。登壇したのはカジノ議連の岩屋毅幹事長や萩生田光一さん、小沢鋭仁さんなどでした。司会の方はしきりと、「オリンピックには間に合いますよね」「オリンピックには間に合いますよね」と言っていました(笑)。ここで決まらないとオリンピックに間に合わないと。

○───復興を口実に、被災地でカジノ

 震災直後、宮城県で「震災復興カジノ」というプロジェクトがありました。津波でほとんど流されてしまった仙台空港周辺にカジノをつくってほしいという地元住民の請願が市に出されましたが、その影にはパチンコ業界や建設業界の方の姿がありました。

 たったの3カ月間で署名集めが行われました。地元の被災者話では、復興に関する署名用紙が回ってきてサインをしたけど、もしかしたらあれがカジノのことだったのかな?」といった感じでした。まだ避難所となっている体育館に、マットを敷いて生活していたような頃の話です。

 その後、野田首相が「カジノはやるつもりない」と言ったので、カジノ誘致の請願話は中断。それがここにきて安倍首相が前のめりになり、先日もまた「復興のシンボルにカジノを」といったシンポジウムが宮城で開かれ、自民党の先生方がわざわざ出向いて出席していました。

 いまのところは村井宮城県知事は否定しています。しかし、宮城県は仙台空港を民営化する方針を打ち出していて、それに対する協力企業があまりカジノにいい顔をしていないということもあって、知事はあまり前向きな姿勢をとれないだけという話もあります。

 秋田県では20年くらい前から「イーストベガス」構想というのがあります。熊が出没するような場所にラスベガスのようなカジノをつくろうと、民間の方が一生懸命やっていました。いまは政治家、商工会まで巻き込み、かなり積極的に活動しています。

 しかし、知事が比較的バランス感覚のしっかりした方で、賭博で地域の活性はあり得ないと言っています。どの自治体でも、カジノを誘致して地域を活性化させたいという話は出てきます。しかし市民がよく勉強をして、「絶対に誘致はいやだ」と具体的にアピールすれば、上も影響を受けるはずです。

 みずほ総合研究所が「オリンピック経済効果シリーズ」というレポートを出していますが、その中でカジノによる経済効果は3.7兆円と見積もられると発表しています。ただ、カジノの経済効果というのはいろいろ試算されてはいますが、前提条件が違えば自ずと試算もまったく違ったものになってきます。とりわけカジノによるマイナス面がきちんと計算されていません。

 まともな議論もなされないまま、このような混沌とした状況の中でカジノが解禁されようとしているのは恐ろしく、あまりにも無責任です。リゾート法(総合保養地域整備法)の失敗に反省することもなく、なぜここまでギャンブル依存症が増えたのかをきちんと分析・反省もしない。政策もない。ひたすらオリンピックに間に合わせて、カジノをつくる。特定秘密保護法を押し込んだ時のようなやり方に、危機感を覚えざるを得ません。
 このままでカジノを解禁してしまったら、たいへんなことになるのではないかと心配しています。

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【3】宇都宮けんじ(弁護士)

○───とことん反道徳的・非倫理的な政治家

 多重債務者の中には、ギャンブル依存症になってしまうというケースが多くあります。弁護士は多重債務者の債務を減らす、あるいはなくすことを目的に相談を受けて活動するのですが、ギャンブル依存症の方は、借金がなくなるとまたギャンブルができるといって、のめりこんでいってしまいます。つまりは、借金を解決するということが、本質的な解決とはならない。依存症自体をなくさなければ、根本的な解決にはなりません。

 ギャンブル依存症の方の中には、自分だけでなく、親の財産まで使い果たして家庭崩壊させてしまったり、サラ金だけでなく犯罪に手を出す場合も出てきます。ギャンブル依存症というのは、本人は言うまでもなくも、家族をも巻き込み多大な迷惑をかけていく。それが深刻な病であると言えます。

 新里さんも言うように、負けで成り立つのがギャンブルです。人の不幸で成り立っている商売、これを認めてしまってはなりません。だからこそ刑法で賭博を禁止したのです。

 これまでも公営の競馬や競艇などがありましたが、それらの儲けは社会福祉などに還元するという理由のもとに認められてきた。しかし、ラスベガスなどカジノの事業者は民間業者であって、儲けるための商売、これ自体とんでもないことです。

 家庭崩壊や自殺、犯罪が増え、しかもその利益は、人の不幸の上に成り立つ。これひとつとっても安倍政権というのは、政治家としての倫理や道徳が問われなければなりません。犯罪でもって成長戦略の一環とする。原発を輸出して儲ける。武器輸出三原則も解禁しました。死の商人です。成長戦略の中味はまったくもって道徳的でなく、倫理的ではありません。とことん反道徳的・非倫理的な、いまの政治家を示していると思います。

 二宮尊徳は、「道徳のない経済は罪悪である」といっています。また、「経済のない道徳は寝言である」ともいっています。それは政治家だけではなく、経済界にもいえることです。原発や武器を輸出することについて、明確にブレーキをかける声が経済界から出てこない。それどころか、経団連は政治献金も復活させようとしています。

 賭博は禁止されています。それをいま、特別法をつくって例外的に一定の条件を満たした場合にに認めようというのがカジノ法案です。だから私たちは決して、例外を作らせてはなりません。法律を潰せばカジノはできない。法律ができても、各自治体の首長がOKしなければカジノは作れない。東京に関しては、舛添さんはやらないと言っていますが、たとえ法律が通っても首長にやらせない。それは自治体の住民の運動でできることです。

 まずはカジノを潰すこと。それがオリンピック招致に大きなダメージを与えることになるのです。


(2014年9月20日、第4回希望政策フォーラム「「どうする!?東京オリンピック」より)



posted by チームうつけん・ナオカ at 00:34| 政策の現場から | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする